家を建てる際に、利便性の観点から一階・二階の両階にトイレを設置する家庭が増えています。しかし、そういった住宅で懸念されるのが、二階のトイレの水漏れトラブルです。本記事では、二階のトイレで水漏れが発生する原因や対処法、水漏れを放置することのリスクについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
二階のトイレで水漏れが発生する原因
まずは、二階のトイレで水漏れが発生する主な原因について詳しく説明します。
トイレ詰まり
まず、トイレ詰まりによる水漏れです。二階のトイレは一階と比べて排水経路が長くなるため、つまりが発生しやすい傾向にあります。とくに節水型トイレの場合、水量が少ないため汚物やトイレットペーパーが流れきらずに排水管内に残ってしまい、つまりを引き起こすリスクが高まります。
また、二階トイレの使用頻度が低い家庭では冬場に排水管内で水が凍結し、汚物が固まることもつまりの原因となる場合も少なくありません。このようなつまりが原因で水が逆流し、漏水するケースが見られます。
排水管の破損
次に、排水管の破損による水漏れです。排水管は給水管に比べて破損しやすい特徴があります。とくに二階以上のトイレでは、排水管が何度も曲がりながら床下に設置されているため流れる水に負荷がかかりやすく、劣化や破損のリスクが高まります。
築年数が古い住宅の場合、排水管自体が老朽化している可能性もあり、ひび割れや破損によって水漏れが発生することも少なくありません。
便器本体の破損
続いて、便器本体の破損による水漏れです。トイレの便器は主に陶器でできており、見た目は頑丈でも衝撃にはあまり強くありません。硬いものを便器にぶつけてしまったり強い衝撃を加えたりすると、ひび割れや破損が生じ、水漏れの原因となります。
便器に小さなひびが入っただけでも、そこからじわじわと水が漏れ出してしまうことがあります。便器が破損した場合、一時的に補修テープで応急処置を施すことは可能です。しかし、基本的には便器本体の交換が必要になるため、修理にはコストがかかる点に注意が必要です。
部品の劣化・破損
最後に、部品の劣化や破損による水漏れについてです。トイレは多くの部品で構成されており、とくに接続部分のパッキンやトイレタンク内の各種部品は経年劣化しやすいパーツです。
一般的に、これらのパーツは10年ほど使用すると劣化が進み、水漏れを引き起こす可能性が高まります。ナットの緩みやパッキンの劣化が原因で接続部から水が漏れている場合も多く、これらは比較的簡単な作業で修理が可能です。
パーツ交換は専門業者に依頼しなくても自力で対応できる場合もあり、費用を抑えて対処することができます。
二階のトイレで水漏れが起きたときの対処法
二階のトイレで水漏れが発生した場合、放置すると床や天井にまで被害が及び、修繕費用が大きくなる可能性があります。そのため、被害が拡大する前に適切な対処を行うことが非常に重要です。ここでは、二階トイレで水漏れが起きた際の対処法と修理方法について詳しく解説します。
止水栓を閉める
まず最初に行うべきは、止水栓を閉めることです。止水栓を閉めれば、トイレへの給水を止めることができ、これ以上の水漏れを防ぐことができます。止水栓は、トイレの壁や床近くに設置されていることが多いです。
手で回すか、マイナスドライバーを使って閉めることが可能です。万が一止水栓が見つからない、または動かない場合には、家全体の水道の元栓を閉める必要があります。ただし、元栓を閉めると家中のすべての水回りが使えなくなってしまうため注意が必要です。
水漏れの箇所・原因の特定
次に、水漏れ箇所と原因を特定します。どこから水が漏れているのか、便器本体なのか、配管部分なのか、あるいは接続部分なのか、目視で確認できる範囲を丁寧に調べましょう。
原因や場所がある程度分かれば、自分で修理する場合でも業者に依頼する場合でも、作業がスムーズに進みます。特定が難しい場合でも、できるだけ状況をメモしておくと、業者に説明する際に役立ちます。
水道修理業者に連絡する
原因や場所を特定できない、または自分で修理できない場合は、水道修理業者に連絡してください。プロの業者であれば、迅速に原因を突き止め、適切な修理を施してくれます。
水漏れの被害は時間との勝負になることも多いため、止水栓を閉めた後は、できるだけ早く業者に連絡を取ることが重要です。ただし、修理業者によっては混雑している場合があります。すぐに対応できないこともあるため、早めの行動が求められます。
被害の範囲の確認
修理作業の手配が済んだら、最後に忘れてはいけないのが被害の範囲を確認することです。二階のトイレで発生した水漏れは、床や壁紙、さらには下の階の天井にまで影響を及ぼすことがあります。
とくに一階の天井部分は見落としやすいので、しっかり確認しましょう。もし被害が広がっている場合には、水漏れに関する修理費用や復旧費用について、加入している火災保険が適用できるかも調べてください。
水漏れ被害は火災保険で補償されるケースがあるため、早めに保険会社に連絡して必要な手続きを進めることが重要です。
二階のトイレの水漏れを放置するとどうなる?
二階のトイレで発生した水漏れは、少量であっても決して放置してはいけません。放置することでさまざまなリスクが生じ、結果的に修理費用や建物全体への影響が大きくなる恐れがあります。ここでは、二階トイレの水漏れを放置することによる主なリスクについて詳しく解説します。
カビ・シロアリの発生
まず、水漏れを放置すると、カビやシロアリが発生する危険性があります。水漏れによって湿度が高まると、床や天井、壁などにカビが広がる可能性が高まります。カビは一度広範囲に発生すると簡単には除去できず、クロスの張り替えや内部の補修が必要になるケースも少なくありません。
また、カビによるアレルギー症状や呼吸器疾患など、健康被害にもつながる恐れがあります。さらに、湿気を好むシロアリが発生する可能性もあり、これが建物の木材部分を食い荒らすと、物自体の強度が低下する危険も出てきます。
シロアリの駆除には専門業者への依頼が必要となり、相応のコストと手間がかかるため、水漏れを早期に対処してカビやシロアリの発生を防ぐことが重要です。
床・壁の劣化
次に、床や壁の劣化も大きな問題です。水漏れによってトイレ内の湿度が上がると、クロスが剥がれたり床材が変形したりするだけでなく、壁や柱そのものが腐食してしまう恐れがあります。
こうした劣化は、表面だけでなく建物の構造部分にまで影響を及ぼす可能性があり、最悪の場合基礎部分にまでダメージが広がることもあります。劣化が進行すると修繕範囲が広がり修理費用も高額になるため、水漏れはできるだけ早い段階で対応することが必要です。
漏電のリスクが高まる
さらに、漏電のリスクも見逃せません。とくにトイレに温水洗浄便座が設置されている場合は、常時電気を使用しているため、水漏れによる漏電や感電の危険性が高まります。
漏電は電気設備の故障を引き起こすだけでなく、感電事故や火災といった重大な被害にもつながりかねません。最悪の場合、命にかかわる重大事故を引き起こすこともあります。水漏れに気づいたらすぐに電源を切り、専門業者に相談するなど適切な対処を行うことが求められます。
一階に水漏れ被害が及ぶ
また、一階にまで水漏れの被害が及ぶ可能性もあります。二階トイレからの水漏れは重力によって水が下へ流れるため、二階の床や壁だけでなく、その下の一階の天井や壁にも影響を与えます。
天井から水が染み出したり、クロスや構造材にまで浸透したりすると、修理には大規模な工事が必要となるかもしれません。被害が広がるほど工事の規模や費用も大きくなるため、早期に水漏れを食い止めることが、建物を守るうえで非常に重要です。
二階のトイレの水漏れを防ぐ方法
二階のトイレの水漏れは、日々のちょっとした工夫と心がけで予防することが可能です。以下で、具体的な方法を見ていきましょう。
トイレの詰まりの原因になるものを流さない
まず重要なのは、トイレ詰まりの原因となるものを流さないことです。トイレットペーパーを使用する際は一度に大量に流さず、こまめに分けて流すよう心がけましょう。
二階のトイレは排水管が長いため勢いよく水が流れにくく、大量のトイレットペーパーを一度に流すと、途中で詰まってしまう危険があります。とくに節水型トイレの場合、使用する水の量が少ないため、紙詰まりが起きやすい傾向にあります。
また、掃除用シートや「トイレに流せる」と表示されているおしりふきなども、二階トイレでは流さない方が安全です。これらは水に溶けにくく、排水管の途中で引っかかってしまう恐れがあります。できるだけこれらの異物は、専用のゴミ箱に捨てるようにしましょう。
さらに、もし何か異物を便器に落としてしまった場合には、絶対にそのまま流してはいけません。見える場所に落ちたものであれば、ゴム手袋を着用し、手で慎重に取り出すことが必要です。
「これくらいなら流しても問題ないだろう」という油断が、思わぬつまりや水漏れの原因になります。小さな異物でも排水管内で引っかかり、それがもとでトイレ全体の排水不良を引き起こすケースが多いため、十分に注意しましょう。
定期点検・メンテナンス
次に大切なのは、トイレの定期点検とメンテナンスです。トイレ本体や排水管は、使用を重ねるうちに劣化していきます。特に築年数が経過した住宅では、知らないうちに排水管の内部に汚れや異物が蓄積していることも珍しくありません。
こうした劣化や汚れを放置すると、水漏れや排水不良が発生するリスクが高まります。定期的に専門業者に排水管の清掃や点検を依頼することで、トイレのコンディションを良好に保つことができます。
専門業者であれば、普段目に見えない排水管内部までチェックし、早期に異常を発見して適切な対策を講じてくれることでしょう。
とくに築10年以上の建物では、年に一度程度の点検を行うことが理想的です。点検やメンテナンスによって劣化箇所を早期に補修できれば、結果的に大がかりな修理を防ぎ、コストを抑えることにもつながります。
まとめ
二階のトイレは便利な反面、水漏れリスクが高く注意が必要です。トイレ詰まりや排水管の破損、便器や部品の劣化が水漏れの主な原因です。そして、放置すれば床や壁の劣化、カビ・シロアリの発生、さらには漏電や一階への被害拡大といった深刻なトラブルにつながる恐れがあります。被害を最小限に抑えるには、異変に気づいたらすぐに止水栓を閉め、原因を特定して迅速に対応することが大切です。また、日頃からトイレ詰まりの原因を流さない、定期点検を行うなど予防意識を持つことも欠かせません。快適な住まいを守るためにも、二階トイレの管理には細心の注意を払いましょう。