貸店舗(テナント)を運営する際、突然のトラブルが発生するのは避けられません。その中でも、特に厄介なのが水漏れです。水漏れは、テナント経営者にとって大きな問題となるだけでなく、店舗の営業に影響を及ぼすことも少なくありません。本記事では、貸店舗における水漏れトラブルの責任の所在と、対処方法を解説します。
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テナントで発生する水漏れの主な原因
貸店舗で発生する水漏れには、いくつかの一般的な原因があります。
まず、老朽化した配管が原因で水漏れが発生することが多くあります。特に古い建物では、経年劣化によって配管が脆くなり、漏水が発生しやすくなります。配管の劣化は、建物全体の老朽化とも関連しており、予防措置が講じられていないとトラブルに繋がることがあります。
また、給排水設備の不適切な使用やメンテナンス不足も、店舗内での水漏れの原因です。例えば、厨房など水を多く使う設備がある場合は日常的なメンテナンスを怠ると、水漏れが発生しやすくなります。
加えて、エアコンやその他の設備からの水漏れも、テナントでのトラブルの一因となることがあります。
テナントで漏水が起きやすくなる条件
次に、テナントで漏水が起きやすくなる条件を見ていきましょう。
漏水が起きやすくなる条件は、以下の通りです。
古いビルなどをテナントとして借りている
テナント漏水で最も多いのが、古いビルを借りていたケースです。
古いビルは原状回復が行なわれていますが、給排水などの設備のみが古いことがあります。古い水道管は鉄管で固定・配管されていることが多く、給水のルート変更が難しい場合があります。
これらの配管を塩化ビニール管などで配管しなおしていれば、漏水は起きにくいです。しかし、配管が古いままだと、水漏れを起こしてしまうリスクが大きく上がります。
飲食店など水を使うお店の場合
当然のことながら水をよく使うテナントからは、漏水が発生しやすくなります。
特に飲食系の居抜き物件の場合は防水が切れていたり、給水管や排水管が破れて水が漏れたりする事故が起こりやすいです。防水切れを起こしてしまうことを想定せず、溝などに水を流した時に漏水が起きてしまう事故が多発しています。
水を出したり排水を流したりした時に、どこから漏水が起きているのかの究明も難しいため、水をよく使うテナントでは防水や配管のメンテナンスをしっかり行うことが求められるでしょう。なお、厨房用防水の耐水年数は、2~20年となっています。
ウレタンタイプのものは2年しかもたない可能性もありますが、FRPタイプや塩ビシートの場合は10年以上もつことが多いです。定期的なメンテナンスを実施して、テナントで漏水防止工事を行えば、水漏れが発生する確率は下がります。
テナントで水漏れが発生した際の責任の所在は?
水漏れが発生した際にまず重要なのは、誰がその修理費用を負担すべきかという点です。
基本的には、建物の所有者である貸主(大家)と、実際に店舗を運営している借主(テナント)のいずれかに責任が発生します。水漏れの原因によって、どちらが責任を負うかが異なるため、その区別が重要です。
貸主の責任
一般的に、貸主は建物の基本的な構造部分や共用部分の管理・修繕を行う義務があります。
これには、配管や基礎、外壁など、建物の耐久性に関わる部分が含まれます。したがって、配管の老朽化や建物全体の構造上の問題が原因で水漏れが発生した場合、その修理費用は貸主の負担となることが多いです。
水道の中にあるパッキンなどを交換しなかったり、ホースなどが老朽化して外れてしまったりして水漏れが起きたときが該当します。蛇口に関する部品の故障・老朽化を見つけたら、早めに修理を依頼しましょう。
また、建物全体の設備、例えば共用部分の給排水設備や共用エリアの漏水が原因でテナントに被害が及んだ場合も、貸主が修理を行う責任があります。これは、貸主が建物の維持管理義務を負っているためです。
なお、当然のことながら故意に水を出しっぱなしにしていてそれを忘れた結果水漏れが起きた場合は、全額自己負担となります。
借主の責任
一方で、借主が直接使用している設備や施設内で発生した水漏れについては、借主が責任を負うことが一般的です。
例えば、厨房やトイレの水漏れ、エアコンからの漏水など、借主が日常的に使用している設備に起因する場合、その修理費用は借主が負担する必要があります。
また、借主の不注意や誤った使い方が原因で水漏れが発生した場合も同様です。この場合、貸主は修理の義務を負わず、借主が自己責任で対応することになります。
テナントで水漏れ修理が必要化した際の対処方法
水漏れが発生した際には、迅速かつ適切な対応が求められます。
放置してしまうと、被害が拡大し、修理費用が膨らむだけでなく、テナントの営業に大きな影響を与える可能性を加味して対処しましょう。以下では、具体的な対処手順について解説します。
1. 水漏れの原因を特定する
まず、最初に行うべきは水漏れの原因を特定することです。
水漏れがどこから発生しているのか、またその範囲や影響を確認し、適切な修理方法を判断する必要があります。水漏れの原因がわからないと、どのような対処が必要か突き止めることができません。
なお、水漏れが大規模な場合や原因が不明な場合は、専門の業者に依頼して詳細な調査を行うことが推奨されます。
2. 被害の拡大を防ぐための応急処置
水漏れが発生した際には、被害を最小限に抑えるための応急処置も重要です。
例えば、水の流出を止めるために給水元を閉じる、漏水が広がらないようにタオルやバケツを用意するなどの対応が必要になります。また、漏水による設備や商品への被害を防ぐため、影響を受けそうなものを速やかに移動させることも大切です。
3. 早急に貸主や管理会社に連絡する
水漏れが確認された場合、すぐに貸主や管理会社に連絡を取り、状況を報告することが重要です。
特に建物全体の設備や共用部分に起因する水漏れである場合、貸主が修理に対応する必要があります。また、事前に連絡を取ることで、修理にかかる手続きを円滑に進めることが可能です。
3.貸主と話し合いをする
水漏れトラブルの対応では、貸主と借主の間で適切なコミュニケーションを図ることが重要です。
双方の責任範囲や修理費用の負担について、契約書に明確な記載があれば、それに基づいて話し合いを進めることができます。しかし、契約書に明確な記載がない場合や解釈が異なる場合は、双方で納得のいく解決策を見つけるために柔軟な対応が求められます。
また、水漏れトラブルは建物全体の問題にも発展することがあるため、他のテナントへの影響にも配慮する必要があります。特に大規模な水漏れが発生した場合は、他のテナントや関係者にも迅速に状況を伝え、被害が拡大しないように連携を取ることが重要です。
なお、責任のある借主が管理すべき範囲内での水漏れが発生した場合、借主が修理を手配する必要があります。しかし、自己対応する際には、修理内容や費用について貸主に事前に相談しておくことが望ましいです。
貸主に修理の詳細を伝え、同意を得ることで、後々のトラブルを避けることができます。また、保険加入の有無も確認しておきましょう。多くの貸店舗では、賠償責任保険や火災保険に加入しており、水漏れによる被害に対する保険金が下りる場合があります。
保険を利用することで、借主の経済的な負担を軽減することができるかもしれません。
4.水道業者を探して対処をする
話し合いをしている間に、水道業者を探して手配をしておきましょう。
業者を探す際には、水道修理業者の比較サイトがおすすめです。現在の状況や水道の水漏れ箇所などにあった業者を探し、手配することができます。水道業者が来たら速やかに指示に従い、修理をしてもらってください。
5. 修理後の確認と再発防止策
修理が完了したら、必ず修理内容を確認し、再発防止策を講じることが重要です。
修理が不十分であれば、再び水漏れが発生する可能性があるため、業者との確認作業を怠らないようにしましょう。また、定期的なメンテナンスを行い、将来的な水漏れリスクを低減する努力も必要です。水漏れが予防できれば、修理の際の労力・費用を抑えることができます。
水漏れによる営業への影響とその対応
水漏れは、テナントの営業に直接的な影響を与えることがあります。
特に飲食店や美容室など水を多く使用する業種では、営業の継続が難しくなるケースも少なくありません。こうした状況に直面した場合、営業停止や休業に伴う損害が発生する可能性があります。営業へ与える影響を最小限に抑えるためには、迅速な対応をしましょう。
水漏れが発生した場合、可能な範囲で営業を継続できるように工夫をすることが求められます。例えば、一部の設備だけが影響を受けている場合はその範囲を限定して修理を行い、他のエリアでの営業を続けるといった対応も考えられます。
また、営業停止に伴う損害については、事前に貸主との契約内容を確認しておくことが大切です。場合によっては、契約に基づいて貸主に損害賠償を請求できるケースもあります。事前にこうしたリスクに備えておくことで、万が一の事態に冷静に対処できるようになります。
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まとめ
貸店舗で発生する水漏れは、テナント経営者にとって大きな問題となり、営業に影響を与える可能性があります。本記事では、水漏れの原因や修理費用の責任の所在について解説しています。主な原因には、老朽化した配管や不適切なメンテナンスが挙げられ、特に古いビルや飲食店など水を多く使う店舗での発生が多いです。修理費用は、建物の共用部分や構造に関わる問題なら貸主の責任となり、テナント側の設備や不注意による場合は借主が負担することが一般的です。水漏れが発生した際には、原因特定や応急処置を行い、速やかに貸主や管理会社と連絡を取り、修理を進めることが求められます。また、業者選定や再発防止策も重要です。事前に契約内容を確認し、リスク管理を徹底することが、水漏れトラブルの影響を最小限に抑えるポイントです。