水漏れが発生すると、住宅設備の損傷や水道代が高額になってしまうなど、さまざまな被害を受けてしまいます。水漏れは発見が遅くなるほど被害が広がるため、水漏れの発生しやすい場所や見つける方法を正しく知ることが大切です。本記事では、水漏れのリスクやその原因、対処法まで詳しく解説するので、ぜひご一読ください。
水漏れによって発生するリスクとは
漏水とは、水道管から水が漏れ出している状態を指します。これには「水道代がかかる」「建材が傷む」といったリスクがあります。たとえ目立たない少量の水漏れでも、放置していると日数の経過とともに大量の水が失われ、多額の水道料金が発生するかもしれません。そのため、漏水に気づいた時点で早急に対処することが重要です。
さらに、漏水によって水が壁や床材、柱にしみ込んで建材が腐食すると、住宅の構造に深刻なダメージを与えることになります。これにより、大規模な修繕やリフォームが必要となり、修理費用が高額になるかもしれません。
また、湿った環境はシロアリが発生する原因ともなるため、家の耐久性や寿命に悪影響を及ぼします。漏水と似た水トラブルとして「雨漏り」がありますが、両者は発生原因が異なります。
雨漏りは屋根や外壁から雨水が住宅内に侵入することで起こるもので、建材の腐食といったリスクはありますが、水道料金には影響しません。また、原因の違いによって保険の適用範囲も異なるため、それぞれを正しく理解しておくことが大切です。
水漏れの主な原因
漏水が発生する主な原因は、大きく分けて「パッキンの劣化」「給水管・排水管の老朽化」「自然災害」の3つです。以下で、原因の詳細についてみていきましょう。
パッキンの破損・劣化
まず、パッキンの破損や部品の劣化が原因となるケースです。水栓内部に使われているコマパッキンが経年劣化によって硬くなったり、部品がすり減ったりすることで、接合部に隙間が生じて水が完全に止まらなくなります。
とくに、水栓部品の接合部や給水管とのつなぎ目に使われているパッキンは、水の漏れを防ぐ上で非常に重要な役割を担っているため、この部分の劣化は漏水の大きな要因となります。
給水管・排水管の破損や老朽化
次に、給水管や排水管の破損・老朽化による漏水も原因として多いです。とくに古い配管では、長年の使用によって赤錆が発生し、管の内側の壁が徐々に薄くなります。
こうなると、水圧によって破損しやすくなり、漏水が発生するリスクが高まります。さらに、冬季に配管内の水が凍結すると、膨張によって管が破裂することも珍しくありません。
自然災害による漏水
そして、地震や台風などの自然災害も漏水の大きな原因のひとつです。とくに地中に埋設された給水管は、外部からの大きな力が加わることで破損しやすくなります。
加えて、古い配管はすでに劣化が進んでいる場合が多いため、災害の影響を受けやすいです。なお、新築物件であっても、施工不良などが原因で配管に問題があり漏水が起こることがあります。
家の中で水漏れが発生しやすい場所
漏水は給水管や排水管が通っている場所であれば、家のどこでも起こりうるトラブルです。そして、とくに注意すべきなのは「水まわり」と呼ばれる場所です。
水まわりでは頻繁に水を使用するため、設備の劣化や接合部のゆるみなどにより漏水のリスクが高くなります。ここでは漏水が発生しやすい場所を、具体的に4つに分けて解説します。
トイレ
トイレは住宅内でもとくに水を多く使う場所であり、漏水のリスクも高い箇所です。漏水が発生しやすい部位としては、トイレタンク本体、タンクと便器の接合部、給水管や止水栓の接合部、便器本体、便器と床の接合部などが挙げられます。
また、温水洗浄便座からの漏水も起こりがちです。これらの部位で漏水が起こると、床が水浸しになったり、階下に被害が及ぶこともあります。さらに、排水口の詰まりや逆流といったトラブルも発生しやすいため、日頃から注意が必要です。
キッチン・浴室・洗面台の水栓まわり
キッチン、浴室、洗面台にはさまざまな種類の水栓が使用されており、それぞれに漏水リスクがあります。とくに注意すべき部位は、蛇口先端の吐水口、ハンドルやレバーの根元、水栓の取り付け部、シンクや洗面台下の給水・給湯ホースや止水栓、排水管です。
水栓には常に水圧がかかっており、ひどい場合は水が噴き出して止まらなくなることもあります。また、カルキ汚れの付着によって部品の動きが悪くなり、完全に閉まらずに水が漏れてしまうこともあります。
洗濯機周辺
洗濯機は一度の使用で大量の水を使うため、漏水が発生すると床に水があふれ出してしまう危険性があります。漏水が起こりやすい部位には、水栓と壁の接合部、水栓と給水ホースのつなぎ目、給水ホースそのもの、洗濯機本体、排水ホースと排水口との接続部などがあります。
とくに排水口の詰まりはよくあるトラブルで、繊維くずやホコリが原因で排水不良が起こりやすいです。そのため、定期的な掃除とホースや接続部の点検が必要です。
屋外の水道設備
一戸建て住宅の場合、屋外の水道設備も漏水のリスクを抱えています。例えば、立水栓の根元、蛇口の先端、ハンドルやレバーの根元、散水栓、さらにはシャワーホースやシャワーヘッドとの接続部などです。
屋外の設備は室内に比べて目が届きにくく、漏水に気付きにくいため、知らない間に被害が拡大していることも珍しくありません。とくに冬場は水道管内の水が凍結し、破裂や破損を引き起こすことがあります。
これを防ぐには、冬季に保温材を巻く、使用後に水を抜くなどの予防策が大切です。さらに、定期的な点検も欠かせません。
水漏れが発生しているサイン
漏水被害を拡大させないためには、初期のサインを見逃さないことが大切です。とくに水まわりは日常的に使用頻度が高いため、注意深く観察することで早期発見につながります。
水洗・給水管まわりの濡れ
まず、水栓や給水管まわりが濡れている場合は、漏水の疑いがあります。「蛇口の先端から水がポタポタと垂れている」「水栓のハンドルやレバーの根元から水がにじみ出ている」「水栓の根元が常に湿っている」「給水管の接合部から水がしみ出している」といった症状が見られる場合は要注意です。
さらに、洗濯機下やシンク下に水たまりができていたり、トイレタンクから常時「チョロチョロ」と水音が聞こえることなども見逃してはならない漏水のサインです。
また、家の外のマンホールや下水溝に水道を使っていないのに水が流れていたり、雨が降っていないのに家の基礎部分が濡れているといった症状も漏水が疑われます。
水道代の請求額
水道代の請求額が急に上がった場合も、見えない場所で漏水が発生しているサインかもしれません。壁や床下にある給水管からの漏水は外見では気付きにくいため、水道代に異常が見られた際には、次の手順で確認しましょう。
まず、家のすべての水栓をしっかり閉め、元栓に付属している水道メーターを確認します。このとき、メーター内のパイロットと呼ばれる部分が回転していれば、水道を使用していないにもかかわらず水が流れていることになります。その場合は、漏水の可能性が非常に高いです。
水の変色・異臭
さらに、水が変色したり、異臭がする場合も注意が必要です。キッチン、トイレ、浴室、洗濯機まわりなどで赤っぽく濁った水が出たり、金属っぽい味がする場合は、給水管の内部に赤錆が発生している可能性があります。
赤錆は管の腐食を進行させ、漏水の原因になります。また、下水のような異臭がする場合は、排水管が詰まって水が逆流することで漏水が起こっているかもしれません。
水漏れに気が付いた際の対処法
漏水に気が付いた際には、被害を最小限に抑えるための迅速な対応が重要です。以下で、具体的な対処法を見ていきましょう。
水漏れの応急処置
まず行うべきは、水の流出を止める応急処置です。漏水を発見したら、家の中にある止水栓や屋外に設置されている元栓をすぐに閉めて、水の供給を一時的に止めましょう。これにより、それ以上の水漏れを防ぎ、建材や家財への被害を抑えることができます。
止水栓や元栓が何らかの理由で閉まらない場合は、漏水箇所に防水テープを巻くなどの応急的な対処を施しましょう。完全な修理ではありませんが、水の広がりをある程度防ぐ効果があります。このような応急処置の後は、できるだけ早く専門の水道業者に連絡し、適切な修理を依頼することが大切です。
また、漏れ出た水をそのまま放置するのは厳禁です。水が建材に染み込むことで床や壁が腐食し、修繕費用が高額になるリスクがあります。そのため、床に雑巾を敷いて水を拭き取ったり、水滴が落ちてくる場所にバケツを設置したりして水の拡散を防ぎましょう。
DIYで修理するか業者に修理を依頼する
漏水の原因がパッキンの劣化など軽微なものであれば、DIYでの修理も可能です。パッキン交換は比較的簡単な作業のため、必要な道具を揃えて自分で対応することができます。ただし、修理に自信がない場合や漏水の原因が不明な場合は、無理をせずプロに任せましょう。
根本的な解決を図るには、水まわり専門の修理業者に依頼することが不可欠です。給水管や水栓の劣化による漏水は、素人では対処が難しいケースも多いため、経験と知識のある専門家に任せるのが安全です。
修理の際は、まず現場を調査してもらい、事前に見積りを取得しましょう。納得できる価格とサービス内容であることを確認したうえで契約することで、後々のトラブルも避けられます。
まとめ
本記事では、水漏れが発生しやすい場所や水漏れのサインについて詳しく紹介しました。水漏れは、住宅設備の劣化や配管の老朽化など、さまざまな原因によって発生します。水漏れを放置すれば、建材の腐食や高額な水道代といった深刻な被害につながる恐れがあります。とくにトイレやキッチン、洗面台、屋外の蛇口など水まわりは漏水のリスクが高く、日常的な点検が欠かせません。水栓まわりの湿りや水道代の急増、水の変色・異臭といったサインに早めに気付き、応急処置や専門業者への依頼を行うことで被害を最小限に抑えられます。日頃から注意を払い、早期対応することが住宅を守るカギです。本記事が、水漏れの早期発見に役立てば幸いです。