浴槽の水漏れの対処法と予防策を紹介

浴槽は、数ある住宅設備の中でもとくに水漏れが発生しやすい箇所です。浴槽の水漏れの対処法は、大きく分けて自力での対処と業者への依頼の2つに分かれます。そこで今回は、水漏れに対する対処法や、水漏れの予防策について詳しく解説します。いざというときの水漏れに対応できるように、ぜひ本記事に目を通してください。

浴槽の水漏れした箇所を確認する方法

浴槽で水漏れが発生した場合は、まずはその原因となっている箇所を特定することが重要です。自力で簡単にできる調査方法として、浴槽に水をためて観察する方法があります。

このとき、軽いもの、例えばスポンジや歯ブラシを水面に浮かべておくと、水漏れしている方向にそれが動いていくため、漏れている場所の特定に役立ちます。浮かべた物が排水口の方向に流れるようであれば、排水栓に問題がある可能性が高いです。

逆に、浴槽の側面にひび割れがある場合には、その部分から水が漏れ出し、水面がそのひび割れを境にしてそれ以上は減らなくなることが多いです。この場合、浴槽自体に原因があると考えられます。

また、風呂釜の穴や金具のまわりに水が集まるような場合には、その穴自体やつながっている給湯器などに不具合がある可能性もあります。とくに古いタイプの浴槽では、給湯器との接続部分に劣化が生じ、水漏れの原因となることも多いです。

これらの方法を試しても水漏れ箇所が特定できない場合には、無理に自己判断せず、水道修理業者などの専門家に相談するのが賢明です。原因が浴槽内ではなく、床下の配管や排水口、さらには排水管の奥にあるケースもあるため、専門的な調査が必要になることもあります。

水漏れを放置すると、建物内部の腐食やカビの発生など、深刻な二次被害につながる可能性があります。そのため、早めの対応が大切です。

浴槽の水漏れに自分で対処する方法

浴槽の水漏れは、原因によっては自分で対処することが可能です。年数が経過し、傷みが出てきたバスタブでも、部品の交換や応急処置を行えば一時的にでも水漏れを防ぐことができます。ここでは、主に3つのケースに分けて、自力での対処法を紹介します。

浴槽本体がひび割れている場合

まず、浴槽本体にひび割れがある場合は、そのひびの程度によっては応急処置が可能です。一般的な浴槽の素材には「FRP（繊維強化プラスチック）」やステンレスが使われていますが、どちらも市販の補修用キットで修理することができます。

修理の手順としては、まずひび割れ部分を乾かし、接着剤や水中用接着剤を使って割れを塞ぎます。その後、防水テープを上から貼り付けて補強しましょう。

ただし、この方法はあくまで一時的なものであり、時間が経つと再度水漏れが発生する可能性があります。完全に修理したい場合は、専門業者に依頼するのが望ましいでしょう。

排水口・排水栓周りの水漏れの場合

次に、排水口や排水栓まわりから水漏れしている場合の対処法です。もっともよくあるのが、ゴム製の排水栓の劣化です。この場合は、新しい排水栓に交換するだけで、簡単に水漏れが解消されることが多いです。

交換にはマイナスドライバーが必要で、古い排水栓をチェーンのリングから外し、新しいものを取り付けます。チェーンごと交換する場合は、マイナスドライバーとプラスドライバーの両方を使用します。

まずは古い鎖を外し、プラスドライバーでヒートン（鎖と浴槽をつなぐ金具）を固定しているネジを外してから、新しいものを取り付けましょう。ネジがないタイプの場合は、マイナスドライバーでリングを広げて鎖を外し、新しい鎖に取り替えるだけで済みます。

ただし、浴槽が「ワンプッシュ型水栓」である場合には構造が複雑です。素人が自力で交換するのは難しいため、このケースでは迷わず専門業者に依頼することをおすすめします。

給排水口からの水漏れの場合

最後に、給排水口からの水漏れについてです。ここでの原因は多くの場合、内部のパッキンの劣化です。パッキンは経年劣化で硬くなったり縮んだりすることで密閉性が失われ、水漏れを引き起こします。

新しいパッキンに交換すれば解消できますが、その際は浴槽のメーカーや型番を確認する必要があります。型番が分かれば、ホームセンターやオンラインショップなどで交換用パッキンを探すことが可能です。

しかし、該当する部品が見つからない場合や互換性が不明な場合は、メーカーに直接問い合わせるのが確実です。製造年と型番を伝えれば、適合するパッキンの情報や購入方法などを教えてくれることが多いです。

浴槽の水漏れに自分で対処する場合の注意点

浴槽の水漏れ修理を自分で行う際には、いくつかの重要な注意点があります。以下では、具体的な注意点をまとめて紹介します。

管理会社・大家に必ず連絡する

まず、賃貸住宅の場合は必ず管理会社や大家に連絡を入れることが大前提です。浴槽からの水漏れを放置してしまうと、湿気によるカビの発生や、床の腐食、水浸しによる下階への被害など建物全体に悪影響を与える可能性があります。

被害が拡大してしまうと、自分だけでなく他の入居者にも迷惑をかけてしまうことになり、トラブルの原因にもなりかねません。そのため、たとえ「自分で修理できそう」と思っても、まずは管理会社か大家に状況を報告し、指示を仰ぐようにしましょう。

多くの場合、管理会社や大家は懇意にしている水道業者を持っており、信頼できる業者を紹介してもらえることがあります。また、水漏れの原因や程度に応じて、修理費用の負担が誰にあるのかについても、話し合いによって決めることができます。

これを自己判断で修理してしまうと、本来なら大家側が負担すべき費用を入居者が支払ってしまうことになったり、修理の不備で後々さらなる損害賠償が発生したりするリスクもあるのです。そのようなトラブルを防ぐためにも、賃貸の場合はとにかく「連絡が先」という姿勢が非常に大切です。

自力で修理を行うリスクを理解する

次に、自力での修理に伴うリスクについてもよく理解しておく必要があります。たしかに自分で修理すれば、業者に依頼するよりも費用を抑えられる可能性があります。その一方で、原因の特定が正確にできなかったり、適合しない部品を誤って購入してしまったりするケースも多いです。

さらには、修理作業の途中で工具の使い方を誤り、浴槽や配管などにさらなる損傷を与えてしまうことも考えられます。とくに、見えにくい部分にある水漏れや構造が複雑な排水設備に関しては、素人が判断するには限界があるということを認識しておくべきです。

水漏れが一見止まったように見えても、内部では再び水が漏れていたり、別の場所に水が回っていたりする可能性があるため、目に見える範囲だけで判断するのは非常に危険です。

浴槽の水漏れ修理を業者に依頼する場合の費用相場

浴槽の水漏れ修理を業者に依頼する場合、費用の相場や費用を抑えるためのポイントを知っておくことで、無駄な出費を避けつつ安心して修理を任せることができます。ここでは、代表的な修理箇所ごとの費用や浴槽交換時の相場と、賢く費用を抑えるためのポイントについて解説します。

水漏れ修理にかかる費用相場

まず、水漏れ修理にかかる費用の相場についてですが、修理箇所によって費用は異なります。たとえば、シャワーヘッドの修理では部品代が約3,000〜1万円、修理費用が約3,000〜7,000円程度です。

蛇口の付け根や接続部分での水漏れの場合は、部品代が約1,000円、修理費用が約3,000〜5,000円です。蛇口本体の交換となると、2ハンドルタイプで約1万2,000〜1万5,000円、サーモスタット式水栓では約2万〜3万5,000円、場合によっては5万円程度までかかることもあります。

排水栓の交換に関しては、部品代が約1,000〜1,500円、修理費用は約1万〜2万円程度です。ワンプッシュ型水栓は部品代が修理費に含まれることが多く、修理費用の相場は1万〜2万円となっています。これらの費用に加え、別途出張費が発生する場合があることも念頭に置いておきましょう。

浴槽そのものを交換する際の費用相場

次に、浴槽自体を交換する場合の費用についてです。浴槽の寿命は一般的に20〜30年とされていますが、10年を過ぎると経年劣化によってひび割れなどのトラブルが増えてきます。

浴槽の種類によって交換費用は異なりますが、据え置き型の浴槽であれば約12万〜16万円、ユニットバス全体を交換する場合は15万〜20万円ほどが相場です。

さらに、壁や床に埋め込まれているタイプの浴槽は、施工が複雑になるため費用が高くなりやすいです。具体的には、約24万〜49万円ほどになるケースもあります。

修理費用を抑えるポイント

費用を抑えるポイントとしては、複数の業者から見積もりを取ることが非常に重要です。1社だけの見積もりでは、価格やサービスの適正さを判断することができません。

複数社から見積もりを取ることで、費用の比較ができるだけでなく、作業内容の内訳や追加料金の有無、アフターフォローの有無なども確認できます。

その際は、単に料金が安いという理由だけで業者を選ぶのではなく、自分が希望する修理内容に対応してくれるかどうか、信頼性のある業者であるかどうかも重視する必要があります。

とくにアフターフォローのある業者を選ぶことで、修理後に万が一不具合が発生しても迅速に対応してもらえるため安心です。

浴槽の水漏れの予防策

浴槽の水漏れを防ぐには、日常的なメンテナンスと掃除の工夫が重要です。浴槽を交換した直後や、新品の状態をできるだけ長持ちさせるためにも、普段からの予防対策を心がけましょう。以下に、浴槽の水漏れを未然に防ぐための具体的な方法を紹介します。

洗剤選びには要注意

まず、使用する洗剤の選び方には注意が必要です。実はひび割れの原因のひとつに、日頃使っている洗剤の影響が挙げられます。強い成分を含む洗剤を使用すると、浴槽の塗装や素材そのものを劣化させる恐れがあります。

とくに塗装コーティングがはがれると、そこから水が染み込み、ひび割れが起きやすくなるため注意が必要です。コーティングが劣化していると感じたら、ひび割れを起こす前に保護コーティングを施すことをおすすめします。

一方で、重曹やクエン酸のような自然由来の洗剤は、浴槽に対する刺激が少なく、安全性も高いため、日常的な掃除に適しています。ただし、こうした洗剤は洗浄力がややマイルドなため、汚れがひどくなる前にこまめに掃除することがポイントです。

排水口の掃除

次に、浴槽の排水口の掃除も忘れてはならない予防策のひとつです。排水口には髪の毛や小さなゴミがたまりやすく、放置するとつまりの原因となります。そうなると水の流れが悪くなり、場合によっては水漏れに発展することもあります。

排水口の掃除は、週に1回程度を目安に定期的に行いましょう。ゴム栓タイプの排水口であれば、ゴム栓を外した中にあるフィルター部分に髪の毛やゴミがたまっています。この部分を丁寧に取り除き、フィルター自体も洗って清潔に保ちましょう。

まとめ

浴槽の水漏れは、見逃すと深刻な被害につながるため、早期発見と的確な対処が重要です。まずは水漏れの原因を特定しましょう。ひび割れや排水口、給排水部の劣化に応じて応急処置や部品交換で対処が可能です。ただし賃貸住宅では自己判断で修理せず、必ず管理会社へ連絡をしましょう。業者に依頼する場合は、複数の見積もりを取り、信頼性とアフターフォローを重視しましょう。また、普段からの洗剤選びや排水口の定期清掃など、日常のメンテナンスで水漏れを未然に防ぐことも大切です。