夏場に起きやすい水道管のトラブルとは？対策方法を知っておこう

近年では、4月の後半ともなると真夏日並みの気温を記録する日も珍しくなくなりました。水道管のトラブルは冬に起きやすいと思われがちですが、実は夏場も、破損や結露といったトラブルが起きやすいです。そこで本記事では、夏場に起こりやすい水道管のトラブルにスポットを当てて徹底解説します。ぜひ参考にしてください。

水道管の破損の対策

夏場に多発する水道管トラブルの中で特に多いのが、水道管の破損です。冬場に起こる水道管破損は、管内の水が凍結して膨張し、破裂を引き起こすことが原因です。一方で、夏場の場合は紫外線や日差しによる劣化が主な原因となります。

とくに被害を受けやすいのは、塩ビパイプで作られた水道管です。塩ビパイプは塩化ビニルを原料とする合成樹脂製で、加工がしやすく軽量なため、現代の水道管や下水管に広く利用されています。

しかし、塩化ビニルは熱に弱い性質を持っています。そのため、紫外線や強い日差しに長期間さらされることで劣化し、ひび割れや破損につながってしまいやすいです。

一方、築年数の古い建物などで使用されている銅製の水道管は、紫外線や日差しによる劣化には強く、同様の破損リスクは比較的低いとされています。このような水道管の破損を防ぐためには、塩ビパイプの劣化を未然に防ぐ対策が重要です。

とくに効果的なのは、水道管に保温材をしっかりと巻き付けることです。保温材と聞くと冬場の凍結防止を思い浮かべるかもしれませんが、実は夏場の紫外線や直射日光から水道管を守る役割も果たします。

保温材が破損していたり、水道管がむき出しになっている箇所があれば、すぐに補修することをおすすめします。保温材には、テープ型のものだけでなく、チューブ型やステンレス製のものもあり、ホームセンターなどで簡単に入手可能です。

さらに、急ぎで対応する必要がある場合は、毛布や布を巻き付けることで一時的に代用することもできます。これらの対策を講じることで、夏場の水道管破損リスクを大幅に減らすことが可能です。結果として、大掛かりな修理費用や水漏れによる二次被害を防ぐことにもつながります。

水道管の結露の対策

気温が高く湿度も高い夏場には、水道管に結露が発生することがあります。この時期の結露は、気温や湿気だけでなく、室内の冷房使用も大きな要因となります。とくに壁の中にある水道管には注意が必要です。

夏の日差しによって外壁が温められると、壁材に含まれていた湿気が水分となって放出されます。一方で、室内側の壁は冷房によって冷やされており、その冷気が壁の内部に伝わることで壁の中の温度が下がります。

このように、温められた湿気と冷やされた空気が重なることで、壁の中に結露が発生するのです。この現象は「夏型結露」あるいは「内部結露」と呼ばれます。放置するとカビの繁殖を引き起こし、住環境に深刻な悪影響を及ぼす恐れがあります。

水道管の結露を防ぐためには、まず発見時にタオルなどでしっかりと水分を拭き取ることが基本です。しかし、何度拭いても水滴が発生する場合は、単なる結露ではなく水漏れが疑われます。その場合は自力で対応せず、指定給水装置工事事業者に登録されている水道修理業者に早急に相談することが重要です。

また、水道管が壁の内部に設置されている場合は結露の発生に気付きにくく、知らないうちにカビが広がってしまうことがあります。外壁や内壁の表面にカビが見られる場合には、壁内部にカビが発生している可能性が高いため、速やかに専門業者に点検を依頼することをおすすめします。

結露の発生を抑えるためには、室内と屋外の温度差をできるだけ小さく保つことが効果的です。夏場は冷房による室温の低下を優先しがちですが、冷房モードを控え、除湿モードを活用しましょう。

また、換気扇やサーキュレーター（扇風機）を使用して空気を循環させることが有効です。これにより、室内に冷気がこもりすぎるのを防ぎ、湿気を外に逃がすことができます。

ただし、無理に室温を上げようとすると熱中症のリスクが高まります。そのため、室温管理には十分注意して、こまめな水分補給や適度な冷房使用を心掛ける必要があります。

水道管の台風被害の対策

夏は台風の季節であり、強風や豪雨によって建物だけでなく、水道管にも大きな被害が及ぶことがあります。とくに外壁に施工されている水道管は台風の影響を直接受けやすく、損傷したり、急速に劣化が進んだりすることが少なくありません。

水道管が破損すると、水漏れが発生するだけでなく、破損箇所から泥や砂などの異物が水道管内に侵入して水質の悪化を引き起こす可能性もあります。また、このような被害は台風に限らず、地震などの自然災害でも起こることがあります。

台風や地震の後、今までになかった現象が発生した場合は要注意です。たとえば急に水漏れが発生したり、水道水に不純物が混ざったり、水が出なくなるなどのトラブルが見られた場合は、水道管に破損がないか必ず確認する必要があります。

放置してしまうと、破損箇所がさらに広がり、水漏れによる二次被害が拡大する恐れがあります。早期発見・早期対処が重要です。水道管の台風対策としては、まず壁の外に設置されている水道管に保温材をしっかりと巻き付け、被害を最小限に抑える工夫が有効です。

保温材はもともと冬場の凍結防止用に使用されることが多いですが、物理的な衝撃や雨風から水道管を守る役割も果たします。しかし、台風は進路や勢力が予想と大きく変わることも珍しくありません。

さらに、強風で飛来物が水道管に直撃したり、保温材自体が破損するリスクもあります。また、想定以上の強風や豪雨にさらされることで水道管自体の劣化が進み、破損に至ることも考えられます。

万一水道管が破損してしまった場合、そのままにしておくと被害はどんどん拡大することでしょう。場合によっては建物内部にまで水漏れが及び、修理費用も大きく膨れ上がる可能性があります。

さらに、破損した水道管では正常に水が供給されず、生活に大きな支障をきたすことになります。水道管の交換や大規模な修理は、法律により自治体に認定された「指定給水装置工事事業者」にしか依頼できません。

たとえば、岡山県で水道管にトラブルが生じた場合には岡山県内の各自治体が指定している業者へ速やかに連絡を取り、点検・修理を依頼することが大切です。自然災害後の安全な生活を守るためにも、早めの点検と適切な対応を心掛けましょう。

排水管の臭いの対策

夏休みやお盆休みなどの長期休暇で自宅を留守にしている間、帰宅後にキッチンから異臭がすることがあります。この原因のひとつに「封水切れ」があります。排水管の悪臭と聞くと、水道管の破損を疑う人もいるかもしれませんが、実際には封水切れによるものが多いのです。

キッチンの排水口の下には「排水トラップ」と呼ばれる装置が設置されています。排水トラップには、水の溜まり（封水）があり、この水が下水道から上がってくる悪臭や害虫の侵入を防いでいるのです。

普段は水道を使うたびに新しい水が排水トラップに供給され、常に清潔な封水が維持されています。しかし、自宅を長期間空けて水を使わないでいると封水が徐々に蒸発してしまい、トラップ内の水がなくなってしまうのです。

封水が切れると、排水管と直接つながった状態となり、そこから悪臭が室内に逆流してくるようになります。また、悪天候の日も注意が必要です。とくに大雨や雨量が多い日は、下水道に大量の水が流れ込むため、排水管内の圧力バランスが崩れてしまうことがあります。

この圧力変動によって、封水が排水管側に引き込まれてしまう現象が発生し、結果的に封水切れを引き起こしてしまうのです。これにより、普段は防がれている排水管の臭いが一気に室内へと広がってしまうこともあります。

こうしたトラブルを防ぐためには、定期的な対策が重要です。封水は、1日あたり約1mmずつ減少していくといわれています。したがって、1週間に一度は排水口に水を流し、封水を新たに供給することをおすすめします。

とくに長期で家を留守にする際には、あらかじめコップなどで排水口に直接水を注ぎ、封水の水位を増やしておくとよいでしょう。こうすることで封水切れを予防でき、帰宅後に不快な臭いに悩まされるリスクを大幅に減らすことができます。

貯水タンクの劣化の対策

貯水タンクの劣化は、水道トラブルの原因となることがあります。貯水タンクは、家庭に水を供給する重要な役割を果たします。しかし、その劣化が進むと水質に問題が生じ、水道水の安全性が保証されなくなるのです。

貯水タンクには、FRP樹脂やコンクリート、ステンレスなどが使用されており、とくにFRP樹脂やステンレス製のものが多く普及しています。しかし、これらの素材でも、経年劣化によってさまざまなトラブルが発生します。

貯水タンクに使用されているネジやパッキンは、長年の使用により劣化が進み、水漏れを引き起こすことがあります。また、貯水タンクは屋外に設置されていることが多く、紫外線や日差し、台風による強風や雨などに常にさらされているのです。

このような過酷な環境下で、タンク本体やその部品が劣化し、水質が悪化する原因となります。とくにタンク内に蓄えられた水が長期間にわたって使用されない場合や、タンク自体の管理が不十分な場合には、衛生面でのリスクが高まります。

貯水タンクの劣化を防ぐためには、定期的な点検と清掃が欠かせません。特に10㎥を超える貯水槽は、自治体のルールに従い、定期的な清掃と点検を受ける努力義務があります。

この定期的な点検によってタンクの状態を把握し、早期に劣化の兆候を発見することができます。もし貯水タンクから給水される水に不安を感じる場合や異常を感じた場合は、直ちに飲用を中止し、管理者に連絡して対応を依頼することが重要です。

まとめ

夏場の水道管トラブルは、破損や結露、台風被害など様々な原因で発生しやすいです。とくに塩ビパイプは紫外線や日差しで劣化しやすく、保温材での対策が効果的です。また、高温多湿の環境では結露が発生し、カビの原因となるため、換気や除湿を心掛けることが重要になります。台風や強風での水道管の破損も懸念され、早期発見・早期対処がカギとなります。さらに、排水管の悪臭や貯水タンクの劣化も予防が必要です。定期的な点検と適切な管理を行い、トラブルを未然に防ぐことが、安全で快適な生活を守るために不可欠です。