エアコンを運転しているとき、室外機から水が漏れているのを見たことはありませんか。室外機の水漏れは割と頻繁に見られるため、故障なのではないかと不安になることもあるでしょう。そこで今回は、室外機の水漏れについて深掘りして詳しく解説します。自分でできる室外機の水漏れ対策についても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
室外機の水漏れ自体は正常な動作
エアコンを使用中に室外機から水が漏れる現象は、多くの人が「故障ではないか」と不安になる原因のひとつです。しかし、これはエアコンの正常な動作によって引き起こされるものです。
とくに冷房や除湿、暖房運転中の霜取り運転による水漏れは、エアコンの構造や仕組みによって発生する自然な現象です。したがって、これらのケースでは修理や交換などの必要はありません。
冷房・除湿時の水漏れについて
エアコンの冷房および除湿運転時には、室内の空気がエアコンの熱交換器に取り込まれ、急激に冷やされます。この過程で熱交換器の表面には結露が発生し、水分となってドレンホースを通じて外に排出されます。
この排出された水が室外機の下部に流れ落ち、水漏れのように見えるのです。また、室外機に接続されている配管部分も冷却されることで結露を起こし、水滴が発生することがあります。とくに湿度の高い日にはこの現象が顕著に見られますが、これも正常動作の一部です。
暖房運転時の霜取りによる水漏れ
暖房運転中には、エアコンの室外機から冷やされた空気が排出されるため、室外機の熱交換器(アルミフィン)に霜が付着することがあります。この霜が蓄積するとエアコンの性能に支障が出るため、機器は自動的に「霜取り運転」を開始する仕組みです。
この運転では、霜を溶かすために一時的に暖房運転が停止し、室外機に熱を送り込んで霜を解かします。その結果、水が室外機の下に大量に排出されることになります。
これは1〜2時間ごとに5〜15分程度の頻度で行われ、1日に排出される水の量は約200〜300mlほどです。このような霜取り運転による水漏れも、もちろん故障ではなく正常なメンテナンス運転の一部であるため心配は不要です。
寒冷地での注意点とエラーコード
ただし、寒冷地における水漏れには注意が必要です。霜取り運転で溶けた水が気温の低さによって再び凍結し、その氷が室外機のファン部分に接触すると、エアコンが自動的に停止してエラーコードを表示することがあります。
こういったトラブルを避けるためには「寒冷地仕様」のエアコンを選ぶことが重要です。このタイプのエアコンには、室外機の底面にヒーターが搭載されており、水の再凍結を防止する設計がされています。暖房時にエラーが出た場合には、使用している機器が寒冷地対応かどうかを確認してみましょう。
水漏れがなくても故障とは限らない
一方で「室外機から水が出ていないから故障しているのでは?」と心配になる人もいることでしょう。しかしながら、冷房・除湿運転中に室外機から水が出ない場合でも、室内の温度が正常にコントロールされているのであれば故障とは限りません。
これは、熱交換器で発生する結露の量が、部屋の空気中の湿度に大きく左右されるためです。空気が乾燥しているときには、結露が少なくなり、水もほとんど出なくなることがあります。
自力で行える室外機の水漏れ対策
エアコン使用中に室外機から水が漏れるのは、多くの場合で正常な動作によるものであり、故障ではありません。しかし、たとえ正常な動作であっても、ベランダに水が溜まってしまい困る人も多いです。
そうした場合には、少し工夫を加えることで水漏れによるトラブルを軽減することができます。ここでは、自分で実践できる室外機からの水漏れ対処法について詳しく解説します。
ドレンホースの設置および延長で排水の向きをコントロール
もっとも簡単かつ効果的な方法として、「ドレンホース」の設置や延長があります。ドレンホースとは、エアコンが結露によって発生させた水を排出するための管です。
市販のドレンホースを購入して適切な長さに延長することで、水が直接ベランダの床に落ちるのを防ぎ、排水を適切な位置へ誘導できます。ドレンホースの設置や延長は、特別な工具を使わなくても簡単にできます。
ホームセンターや通販でも容易に入手でき、費用もそれほどかからないため、室外機の水漏れに悩んでいる人にとくにおすすめの方法です。
排水レールを使って水の流れを誘導
ドレンホース以外にも「排水レール」の設置も方法の1つとしてあります。排水レールは、室外機から出た水を排水口まで誘導するためのガイドレールのようなものです。ベランダの床に直接貼り付けて使用できるタイプも販売されており、設置も簡単です。
とくにベランダの水はけが悪く、水が滞留しやすい環境では非常に有効にはたらきます。排水レールを用いれば、水が一か所に溜まらず、スムーズに流れるため、水染みや床材へのダメージも予防できます。
室内に水漏れする場合はドレンホースのつまりを疑う
一方で、エアコンから室内に水漏れが発生している場合には、別の問題が考えられます。とくに疑うべきは、ドレンホースの詰まりです。ドレンホースが詰まってしまうと、排水されるべき水が行き場を失い、エアコン内部を逆流して室内に漏れ出すことがあります。
ドレンホースは地面に近い場所にあるため、ホコリや泥、虫などが入り込んで詰まりやすい部分です。エアコンを運転しても、ホースからの排水が「ポタポタ」としか出ない場合は、詰まりを疑って清掃を行いましょう。
ドレンホースの清掃方法
ドレンホースの清掃には、家庭にある道具を使って簡単に行うことができます。準備するものは、歯ブラシまたは割り箸、ガーゼ、輪ゴム、そして掃除機です。まず、ドレンホースの入り口付近にあるゴミや汚れを、歯ブラシや割り箸で優しく掻き出します。
次に、ガーゼをドレンホースの先端に覆いかぶせ、輪ゴムでしっかりと固定しましょう。そうしたら、掃除機でガーゼ越しにドレンホース内を吸引します。
この際、掃除機がホース内の水を吸い上げないよう、2秒程度の短い時間でON/OFFを繰り返しながら行いましょう。ガーゼを外し、水が流れ出てくれば、清掃は完了です。この方法で、詰まりの多くは解消できます。
ドレンホースに問題がない場合の原因と対処
ドレンホースに問題が見当たらないにもかかわらず室内に水が漏れている場合は、以下のような別の原因が考えられます。
・フィルターの汚れ:フィルターが汚れていると空気の流れが悪くなり、結露水がうまく排出されないことがあります。フィルターを取り外して洗浄しましょう。
・ルーバーの結露:エアコンの吹き出し口にあるルーバーに結露が発生し、水滴が垂れてくることがあります。ルーバーの向きを変えることで、結露の発生を抑えることができます。
・熱交換器の汚れ:エアコン内部の熱交換器が汚れている場合も、排水がうまくいかず水漏れが起こることがあります。この場合は内部の洗浄が必要になるため、専門のクリーニング業者に依頼するのが無難です。
また、購入後間もないエアコンで水漏れが発生している場合には、設置時の工事不良が原因である可能性もあります。その場合は、設置を担当した業者に連絡し、点検を依頼するのが確実です。
室外機の水漏れで修理が必要なケース
エアコンの使用中に室外機から水が漏れることは、必ずしも異常ではありません。しかし、場合によっては故障のサインである可能性もあります。
とくに、冷房・除湿モード中や暖房モード中に異常な量の水漏れが見られる場合は、修理が必要になることが多いです。ここでは、そうした故障と判断されるケースや具体的な原因について詳しく解説します。
冷房・除湿モードでの異常な水漏れ
通常の運転中でも多少の水が出るのは正常です。しかし、200〜300ml以上の水が短時間で漏れるような場合、または運転停止後に大量の水が出てくる場合は、故障の可能性が高いです。
とくに、室外機の配管に霜が付着してそれが溶けて水漏れしているケースでは、冷媒ガスの漏れが原因であることが多いです。冷媒ガスが漏れると、冷房運転中に配管が異常に冷やされて霜や氷が大量に付着し、運転停止と同時に一気に溶け出して水漏れとなります。
正常な状態では、配管に霜がつくことはありません。冷媒ガスの漏れを確認する方法として、温度差測定による簡易的なチェックがあります。温度差測定では、冷房時に室内機吸込口と室外機吹出口の温度差が8〜13℃、暖房時には6〜23℃あるのが正常です。
もし温度差がそれより大きくずれており、エラーコードも表示されていない場合は、冷媒ガス漏れを疑ってよいでしょう。冷媒ガスが漏れやすい箇所は、室内機と室外機をつなぐ冷媒配管の接続部です。これらの配管は通常、銅管をフレア加工し、フレアナットで締め付けて接続されます。
この方法は比較的漏れにくいものの、施工不良や劣化によってガス漏れが発生することがあります。とくに中古エアコンの設置や引っ越し時には、既存の銅管を再利用するケースもあり、それが原因で漏れが起きることもあります。そのため、取り付けの際は業者に状態を確認してもらうことが大切です。
暖房モードでの水漏れと室外ファンの異常
暖房運転中にも、室外機から水が出ることがあります。これは「霜取り運転」と呼ばれるもので、1〜2時間に一度、200〜300ml程度の水が排出されるのは正常な動作です。しかし、これ以上の大量の水が短時間で漏れ出すような場合は、室外ファンの異常が疑われます。
室外ファンが停止してしまうと、アルミフィン(熱交換器)が極端に冷やされ、大量の霜がついてしまいます。そして霜取り運転に切り替わった際に、それが一気に溶けることで異常な量の水漏れが発生します。
まとめ
エアコンの室外機からの水漏れは、必ずしも故障のサインではありません。多くの場合は冷房や除湿時の結露、暖房時の霜取り運転といった「正常な動作」によるものです。しかし、水の量が明らかに多かったり、運転停止後に一気に漏れ出す場合は、冷媒ガスの漏れや室外ファンの異常といった故障の可能性があります。ベランダに水が溜まるのを防ぐためには、ドレンホースの延長や排水レールの活用、ドレンホースの清掃など手軽にできる対策も効果的です。特に寒冷地では凍結による不具合もあるため、寒冷地仕様のエアコン選びや定期的な点検が重要です。室外機の水漏れには正常と異常があり、違和感を覚えたら早めの確認が安心につながります。