水道局指定工事店に水道の修理を依頼するメリットとは？

水道修理業者は、水漏れやパイプの故障などさまざまな水周りのトラブルを解決してくれる頼もしい存在です。しかし、見積もりよりも高額な請求をするといった、悪質な営業形態をとる業者も残念ながら少なくありません。そのようなトラブルに巻き込まれたくなければ、水道局指定工事店に依頼することをおすすめします。

そもそも水道局指定工事店とは何？

「水道局指定工事店」という言葉を耳にしたことがあっても、その具体的な意味や役割をよく知らない人も多いかもしれません。水道局指定工事店とは、各自治体の水道局が「給水装置」や「排水装置」の工事を適切に行えると認めた業者のことを指します。

給水装置とは上水道に関する設備、排水装置とは下水道に関する設備のことを意味しており、正式名称では「指定給水装置工事事業者」や「指定排水装置工事事業者」と呼ばれます。

これらの名称は、一般的にまとめて「水道局指定工事店」と称されることが多いです。この指定を受けた工事店は、その地域において水道関連の工事を行うことが許されるようになります。

ただし、どの業者でも自由に指定を受けられるわけではありません。水道局指定工事店として認められるためには、まず全国共通の指定要件を満たす必要があります。

具体的には、一定の資格を持った技術者の在籍や、必要な機材・設備の保有などが求められます。これらの要件をクリアしたうえで、各自治体の水道局に対して正式に申請を行い、認可を受けることで初めて「指定工事店」として登録されるのです。

水道局指定工事店と非指定工事店の違い

水道局指定工事店と非指定工事店の違いは、主に対応できる工事の範囲にあります。水回りのトラブルといっても、単純なパッキン交換など軽微な修理から、大がかりな配管工事や給排水設備の設置・改修など、内容は多岐にわたります。

このような幅広いトラブルに対応できるのが「水道局指定工事店」です。彼らは水道局から正式に認可を受けており、専門的な知識・技術・設備を備えているため、法律に基づいた適切な工事が可能です。

一方で「非指定工事店」は、そうした認可を受けていない業者であり、対応できるのは素人でもできるような簡易な作業に限られます。仮に非指定工事店が高度な技術を持っていたとしても、水道局から認可されていない以上、給水・排水装置に関する正式な工事を行うことはできません。

水道局指定工事店にしか許可されていない作業を無断で行うと、違法行為となってしまいます。さらに、水道局指定工事店は、工事に関する報告書や証明書など、行政手続きに必要な公式な書類の発行が可能です。

たとえば、水道料金の減免申請に必要な証明書は、水道局指定工事店でなければ発行できません。したがって、工事の正当性を証明したい場合や水道局との手続きが関係する場面では、必ず水道局指定工事店に依頼する必要があります。

水道局指定工事店に依頼するメリット

水回りのトラブルが発生した際に「水道局指定工事店」に依頼することには、多くのメリットがあります。具体的なメリットの内容を、下記で見ていきましょう。

安心して工事を任せられる

最大のメリットは、安心して工事を任せられる点です。水道局指定工事店とは、各自治体の水道局から「適切な工事を行える」と認められた業者であり、一定水準以上の技術や知識を備えていることが保証されています。そのため、非指定工事店に比べて信頼性が高く、安心して依頼できるのが特徴です。

対応できる業務の幅が広い

また、水道局指定工事店は対応できる業務の幅が広いため、トラブルの大小を問わず対応してくれます。水回りのトラブルは、見た目は簡単に見えても、実際には大がかりな修理が必要になることも多々あります。

たとえば「自分で蛇口の交換を試みたら給水管を傷つけてしまった」「軽いつまりだと思っていたら排水管にひびが入っていた」など、想定外の事態が起こることは珍しくありません。こうしたケースでは、高度な技術と専門的な知識が求められますが、それらに対応できるのは水道局指定工事店だけです。

非指定工事店に依頼した場合、簡単な作業には対応できても、専門的な工事には対応できないため、再度指定工事店に依頼し直すという二度手間が発生する可能性があります。最初から水道局指定工事店に依頼しておけば、そのような無駄な手間や時間を省くことができます。

工事費用が適正

さらに、水道局指定工事店は、工事費用に関しても安心感があります。費用の相場を守り、適正価格での施工が期待できるため、不当な高額請求のリスクが少なくなります。万が一トラブルが発生した場合でも、自治体に相談すれば対応してもらえる体制が整っているのも大きなメリットです。

一方で非指定工事店の場合、見積もりが相場より高かったり、初めは安く見せて後から追加費用を請求してくるようなケースもあります。このようなトラブルがあった際、自治体に相談しても対応してもらえないことがほとんどのため、依頼者が不利益を被る可能性があります。

「指定給水装置工事事業者」「指定排水装置工事事業者」それぞれの特徴

「水道局指定工事店」と一般的に呼ばれる「指定給水装置工事事業者」と「指定排水装置工事事業者」は、いずれも水道局に認定された、専門的な水道工事を適切に行える業者です。それぞれ、上水道と下水道に関わる工事を担う役割があります。以下で、それぞれの特徴や行える業務に就いてみていきましょう。

指定給水装置工事事業者の特徴

まず、指定給水装置工事事業者とは、水道法に基づく「指定給水装置工事事業者制度」により認定された業者です。給水区域内で、上水道に関する工事を適切に行えると認められています。認定には3つの要件があります。

1つ目は「給水装置工事主任技術者」という国家資格を持つ者を1名以上配置することです。2つ目は、必要な機材や器具を所有していることです。3つ目は、過去の不正行為などによって欠格要件に該当しないことになります。

これらの要件を満たし、必要な書類と手数料を添えて水道局へ申請することで、認定されます。この指定を受けた業者だけが行える工事は「新設工事」「改造工事」「撤去・修繕工事」の3種類です。

具体的には、給水管や蛇口を新しく設置したり、既存の給水設備を変更したり、修理・撤去したりといった作業が含まれます。非指定業者がこれらの工事を行うことは法律で禁じられており、必ず指定業者に依頼する必要があります。

ただし、指定給水装置工事事業者が工事を行えるのは、その業者が指定を受けている給水区域内だけです。したがって、依頼の際には業者が自宅のある地域で指定を受けているか確認することが重要です。

なお、非指定業者でも認められている上水道工事は、パッキンや蛇口の交換といった簡易的な作業に限られています。しかし、トラブルの多くは見えない部分で発生するため、最初から指定業者に依頼したほうが安心です。

指定排水装置工事事業者の特徴

次に、指定排水装置工事事業者についても見てみましょう。これは、下水道に関わる排水装置工事を適切に行えると水道局に認められた業者です。給水装置が上水道の設備であるのに対し、排水装置は家庭などから出る汚水を公共の下水道に排出する設備を指します。認定には、4つの要件があります。

1つ目は「指定設備工事責任技術者」という専門資格を持つ者を営業所ごとに1名以上配置することです。2つ目は、指定を希望する都道府県内に営業所を持っていることです。3つ目は、必要な機材や資材を保有していることになります。4つ目は、欠格要件に該当しないことです。

指定排水装置工事事業者が行える工事には、排水設備の新設・増設・撤去・構造変更や、汲み取り式トイレから水洗トイレへの改造工事などが含まれます。

これらはすべて排水装置を扱うものであり、非指定業者が行うことはできません。施工ミスが起きると悪臭の発生や漏水、さらには環境への悪影響にもつながる可能性があるため、信頼できる指定業者に依頼することが求められます。

一方で、非指定業者が行える下水道工事は、トイレの交換や清掃、軽度な水漏れやつまりの対応といった、排水装置に直接関係しない簡単な作業に限られています。

水道修理業者を選ぶ際のポイント

最後に、水道修理業者を選ぶ際のポイントを見ていきましょう。

水道局指定業者を選ぶ

まず第一に重要なのは「水道局指定業者」を選ぶことです。指定業者は、前述した通り水道局から認定を受けており、一定水準以上の技術力や信頼性が担保されています。地域の水道局の公式サイトには指定業者の一覧が掲載されているため、その中から選ぶようにしましょう。

ホームページをよく確認する

次に、業者の信頼性を判断するためには、その業者のホームページをよく確認することが大切です。会社概要が明記されており、固定電話番号が記載されているかもチェックしましょう。フリーダイヤルのみで固定電話がない場合、実際の住所が存在しない可能性もあるため注意が必要です。

また、ホームページに掲載されている業歴や過去の実績も重要な判断材料です。トラブルが起こった際に会社名を変えて再出発するような業者も存在するため、業歴の長さは信頼度の指標になります。

電話対応・スタッフの態度

業者との電話対応や、実際に訪問してきたスタッフの態度も、信頼できるかどうかを見極める要素となります。スタッフが親切でていねいか、見積もり内容を分かりやすく説明してくれるかなども確認しましょう。

また、料金に関しては「極端に安い見積もり」を提示する業者には注意が必要です。多くの業者がホームページに最低料金を掲載していますが、実際には追加費用が発生し、最終的に高額な請求になるケースもあります。誠実な業者であれば、現場確認後に正確な見積書を発行し、工事内容を丁寧に説明してくれるはずです。

見積もりをとる

見積もりは無料で行ってくれる業者を選び、できれば最低でも3社から相見積もりを取りましょう。そして、料金や対応を比較します。その際には、アフターフォローの有無も確認することが大切です。

優良業者であれば、施工後に同様のトラブルが発生した場合でも無料または格安で再対応してくれるなど、アフターサービスが充実しています。

まとめ

水道修理業者を選ぶ際に最も重要なのは「水道局指定工事店」に依頼することです。指定工事店は、各自治体の認可を受けた専門的な技術や知識を持つ業者であり、安心して工事を任せることができます。非指定業者に比べて対応できる工事範囲が広く、適正価格で施工してもらえるため、無駄なトラブルを避けることができます。また、工事後のアフターフォローが充実している点も大きなメリットです。水道修理を依頼する際は、信頼できる指定業者を選んで複数の見積もりを取り、納得のいく業者を選ぶことが大切です