普段生活に欠かすことのできない水道ですが、そんな水道からある日突然汚い水が出てきたら、誰でも不安になるでしょう。そんなとき役に立つ対処法を紹介したいと思います。ぜひ皆さんの日々の暮らしに役立ててください。
汚い水が出てくる原因は何か
はじめに、汚い水というと多くの人は赤錆色を思い浮かべると思います。これは、水道管の内部で腐食が進むなどの原因で剥離した錆が出てきたものです。
1960年代を主とした高度成長期から1995年ごろまでの日本では、給水配管には「白管(しろかん)」と呼ばれる亜鉛メッキでコーティングされた管、または文字通り鉄製の「鉄管」を使用するのが一般的でした。
水道管の耐用年数は現在でも40年が目安とされていますが、残念ながら白管・鉄管ともに40年を待たずに内部が劣化してしまうことが多く、現在ではより耐久性において改善されたステン管や樹脂配管の採用が主流となっています。
なお、白い水が出てきた場合は単に空気が混じっているだけで、時間をおけば濁りが取れるケースもありますが、白管を使用している場合は内部塗装が剥離していることも考えられます。反対に黒色の状態で出てきた場合は二酸化マンガンが原因です。二酸化マンガンとは、水の中に微量に含まれたマンガンを塩素殺菌する過程で起こる酸化によって発生します。
人体への影響と対策についての紹介
これらの色について、多くの人は不安に思われることでしょう。しかし、錆も含まれている鉄分は人体に必要な成分です。この理由から、錆が含まれていても一時的に少量飲用することで、即座に生命に関わることはありませんが、長く続くことは、とくに子供やお年寄りにはよくありません。
そこで、すぐにできる対策を二点ご紹介します。一つは浄水器を用意することです。特別な製品ではなくとも、錆より細かい塩素除去フィルターがついたものであれば十分使用できます。しかし長く使う場合は、多少費用がかかるとしても、フィルターは説明通り定期交換したほうがよいでしょう。
もう一つはさらに簡単な方法です。錆は夜間誰も使用していない時間に溜まります。そのため、朝起きたら水をしばらくの間出しっぱなしにすると、錆を出しきることができるのです。勿体ないようですが、量は大体10リットルを目安としてください。鍋ややかんなど、量の目安となるものを使えば、分かりやすいです。その水は飲まないで、庭木や花にまくなど、外に使ったほうがよいでしょう。
黒色の原因である二酸化マンガンの場合も、同じように10リットル程度出してから利用してください。マンガンも、鉄分同様に人体に必要な成分なので生命に関わる程重篤な問題はありませんが、着色成分があるので洗濯には不向きです。
ただしこの方法はあくまで応急処置なので、長く続く場合は抜本的な対策が求められることもあります。内部で錆が長年の間に溜まり、ついには配管そのものを破損させてしまう「錆こぶ」と呼ばれる状態になると、配管そのものを変えるしか方法がありません。
抜本的な対策はどのようにしたらよいか
先ほど例を挙げた方法で解決しない、色が長く出る場合にはさらなる対策が必要です。そのようなときは、一人で悩むよりも周囲の人に相談してください。例えば分譲地にお住まいの人の場合、同じ時期に入居した近所の人も、同じことで悩んでいる可能性が高いのです。水道は各家庭に地中で分岐していますが、原因は分岐する前の本管と呼ばれるどこかに存在しているのかも知れません。
もしもお近くの数軒で同じ不具合がある場合は、自治体の役所へ一度相談してみてください。反対にお近くの人がとくに困っていない場合は宅内に原因があると考えられます。配管業者に連絡し、必要に応じて水道管を交換する必要があります。
宅内配管の施工方法は自治体によっても推奨される工法が違うので、施工トラブルを回避するためにも指定工事店に相談したほうがよいでしょう。交換範囲がどこまでに及ぶかはケースバイケースとなりますが、地上に露出させる場合は地中埋設より安価となり、水漏れが起こっても自分で原因を見つけやすいというメリットがあります。
ただし凍結しやすい地域の場合は保護が必要です。また、地中に埋設する場合は施工費用が露出より高くなりますが、凍結の心配はほとんどないといってよいのがメリットです。
なお、意外と誤解している人が多いのですが、自分で交換するといって蛇口を替えれば解決するというわけではありません。内部の配管と違って、目に見えるところにある近年の蛇口はステンレスや真鍮といった材質が多く、そう簡単には劣化しなくなっているのです。
最後に、目には見えない部分も経年劣化は確実に進んでいます。おかしい所を感じたときのために、相談できる場所を早めに調べておきましょう。
特に1995年以前に建てられた家をお持ちの方は、自治体の工事予定をホームページでチェックする、または信頼できる業者をネットや近所の方の口コミで相談するなど今から備える方法はたくさんあります。いざというとき、不具合は待ってはくれません。快適なお住まいのために、できることを探してみましょう。