よくよく古い建物などを見ると、コンクリートの壁などに雨でもないのに濡れた様なシミが出来ているのを見たことがある方も居るかと思います。
特に大きなヒビや水がどこかから飛んできたわけでもなく、当然数日雨など降ってないという状況でもこんなことはあり得ます。
こう言った状況はいったい何が原因なのか、簡単にご説明していきます。
ヒビは目に見えるとは限らないもの
木材などで外壁を作っている家などは木に水が染み込み、それが少ししてから外に漏れだしたり、それが屋根から部屋の中に通じている物なら「雨漏り」などと呼んだりします。
こういった水を吸い込み、吐き出す材質であれば、水がしみ出すというのは分かりやすい事ですが、これがコンクリートでも同じ様な現象が起こることがあります。
その大きな原因の一つが「目に見えないヒビ」の存在です。
大抵の人が「鉄筋コンクリート」という素材を耳にしたことがあるかと思います。
あれはコンクリートという石に近い素材に、鉄筋を仕込むことで強度を強くした素材の事で「コンクリート」とだけ言うものはこの鉄筋が無いものに成ります。
コンクリートは材質として「押される力」に強く、上にモノを乗せたりしても壊されにくく、逆に鉄筋は「引かれる力」に強い材質で、吊り下げたモノなどに引っ張られても切れにくい特性を持ちます。
この二つの特性を生かしたのが「鉄筋コンクリート」と呼ばれる素材なのですが、地震などでビルなどの建物が揺れた場合に、傾こうとする力によって建物の一部に「引かれる力」が掛かることがあります。
見た目の上では中の鉄筋が支えに成り、コンクリート自体も然程大きなヒビではないならほとんどダメージが無いのですが、その力が大きい場合や、風化等で劣化したコンクリートだと、目に見えないヒビが中に出来ることがあります。
これが雨や中を通る水を少しずつ隙間にため込み、それがじわじわと漏れ出すようになると、不自然なタイミングでシミが出来ることに成ります。
これも一つの水漏れです。
目に見えないなら気にしなくて大丈夫なのか
ズバリ言うなら「注意状態」というところです。
本来、外壁は建物の内外を遮断する役割があり、水がしみ出すという事はどこかからその水を通過させているという事ですから、もしこういったシミを見つけることがあれば「老朽化」や地震などの原因での「劣化」が疑われます。
生コンを取り扱ったことがある方や、資格などを持って勉強したことがある方ならご存知かもしれませんが、コンクリートは水をある程度吸います。
とういのはコンクリートも元々は水を混ぜて、それを乾燥させることで粘り気を出したり、固定させたりするものですから、知っている人なら新築したコンクリート部分には二十日からひと月くらいの間、水をまいた方がのちの強度が良くなるという特性を持っており「新しいコンクリート」なら、こういったシミが出来ることは稀にあります。
が、ある一定度を過ぎた後のコンクリートで水のシミが出来るのは、明らかにこういったヒビなどの要因を疑われます。
新築のコンクリートでもあまりシミが続くようならヒビを疑った方が良いですが、新しいコンクリートの場合は少し話が違う事だけ覚えて置いて下さい。
さて、老朽化などでヒビが出来て居たら「何が不味いか」ですが、最初は小さな隙間でしょうが水はそこに入り込みます。
それが冬の時期に成り凍結すると「体積が増える」という事態が起こります。
その小さなヒビは冬に成ると「昼に溶かされ奥に流れ込み」「夜に凍って膨らみヒビを広げる」という循環を繰り返しながら、外壁の劣化を急激に早めます。
すぐ水漏れ修理を必要なのか、修理のタイミングはいつか
すぐに修理というのが本音としては一番安心です。
ですが費用の問題などもありますし、しっかりした原因やどの程度修理が必要かを把握しなくては無駄な費用を掛けてしまうことに成ります。
まずは「水漏れ修理の業者」などに調査を依頼してみるのが無難です。
経験側から言うと大抵の場合、不自然な水のシミが出来るようなら水漏れはほぼ確実で、水漏れ修理とはなる物ですが、原因はこのヒビだけでなく、建物の耐震や免震の為に付けた目地と呼ばれる「柔らかい素材」などを使った場所から、間接的に水が回って来て、実際にまったくそれとは関係のない原因があったなんてことも、稀にですが存在します。
まずは何事もしっかりしたプロの目で見て貰って、状況を把握してから助言を受けるのが賢明です。
次に「時期」はどうするかですが、地域や気候によってこれは大きく差が出ますが、台風の多い地域なら台風の来ない時期、雪の多い地方なら雪があるときは難しいですし、春先の雪解け水の影響も大きいので早い方がいいですがそういった時期はできれば避けたいものです。
梅雨の前には湿気なども気に成りますので、出来れば早め早めの点検が良いとは思いますが、その手の事を考慮していくと秋の終わりから初冬辺りで天候の安定した日に予定するのが良いのではないかと思います。
シミなどの原因を探るにも、とりあえず乾燥させやすい状況の方が小さな水漏れの感知には向いており、雨などの中で水漏れ修理をしようとすると「木を森に隠す」様なもので「水漏れの水か雨水か判別」に支障をきたすことがあります。
この辺りはよく業者と相談して時期を定めるのが失敗しない秘訣です。