住宅の配管工事はタイミングが大事？タイミング・費用相場などを解説！

住宅の配管工事は、家づくりやリフォームの中でも重要なステップです。壁の中に設置する設備なので、何かあると大きなトラブルにつながりかねません。しかし適切なタイミングで行えば、コストを抑えつつ、長く快適に住むことが可能になります。本記事では、配管工事を進める最適な時期や、その際にかかる費用の相場についてくわしく解説します。

配管の種類とおもな工事の種類

配管とは、生活に欠かせない水やお湯、そして排水を運ぶために設置される管のことです。

日常生活の中では目にする機会が少ないかもしれませんが、生活するうえで非常に重要な役割を果たしています。この記事では、おもな配管の種類と、それに関連する工事について解説します。

配管の種類

配管はおもに3つの種類があります。

まず1つ目の「給水管」は、水道本管から各家庭に水を供給するための管です。おもに蛇口や水道器具に水を運びます。給水管にはいくつかの種類があり、一般的にはダクタイル鋳鉄管、ステンレス鋼管、水道用ポリエチレン管、耐衝撃性ビニール管などが使用されます。

漏水が発生した場合、どの部分の修繕が必要かによって、対応すべき人や組織が異なるため、自治体や水道局に問い合わせることが必要です。2つ目の「給湯管」は、給水管から送られた水を給湯器で加熱し、温水を各蛇口に運ぶための管です。

高温に耐える必要があるため、給水管よりも耐熱性の高い金属製や樹脂製の管が使用されます。給湯設備の場所に応じて配管の耐熱性能が求められるため、適切な材質を選ぶことが重要です。3つ目の「排水管」は、家から排出される汚水や雨水を外部へ運ぶための管です。

排水システムにはトイレ用、その他の水回り用、雨水用の3つの種類があり、それぞれが適切に外部の排水マスへ接続されます。これにより、家庭からの排水を効率的かつ安全に処理します。

配管に関する工事の種類

配管に関する工事は、大きく分けて3つの種類に分類されます。

まず1つ目に挙げられるのが「給水管の引き込み工事」です。この工事は道路下に埋設されている水道本管から、家庭の敷地内の水道メーターまで給水管を引き込むために行われます。この工事は大規模になることが多く、自治体の指定を受けた専門業者に依頼する必要があります。

新築の家を建てる際に行われることが一般的で、正確な施工が求められます。

2つ目の工事は「下水道の排水工事」です。下水道の排水工事は、家庭内の排水口から公共の排水マスまでの配管を設置するために行われます。新築時の下水道の引き込みや、トイレのリフォームで浄化槽式トイレから公共下水道への接続変更がおもな例です。

資格を持った水道技術管理者が施工を担当し、アフターサービスや見積もりをしっかり確認することが重要です。

3つ目の「室内配管工事」は、水道メーターから家庭内の各設備（お風呂やキッチンなど）に配管を引き込む工事です。

この工事には蛇口や止水栓の設置も含まれ、生活するための水を適切に各設備へ供給するための大切な作業です。施工の精度が高く求められ、トラブルを未然に防ぐためにも信頼できる業者の選定が重要です。

住宅の配管工事を考えるタイミングとは

住宅の配管は普段目に見えないため、工事のタイミングを判断しにくい部分です。

しかし、配管が劣化すると水質に影響を与えたり、建物自体の損傷を招く可能性があるため、異常が見られた場合には早めに対処することが重要です。では、どのような症状が現れたときに配管工事を検討するべきか、以下に具体的なサインをご紹介します。

赤茶色の水が出る

赤茶色の水が出る場合は、配管がサビや腐食で劣化している可能性があります。

とくに金属管の場合、経年劣化でサビが発生し、水に混ざってしまうことがあります。このような水を使い続けると、健康に悪影響を与える可能性があるため、早急に配管の点検や工事を依頼する必要があります。

水漏れ

水漏れは配管が劣化した際に起こりやすい問題です。

水漏れが放置されると、カビの繁殖や建物の腐食といった二次的な被害を引き起こすこともあります。水漏れの原因は、配管の経年劣化、パッキンのゆるみ、つまりなどさまざまです。とくに古い配管の場合、劣化が進行している可能性が高いため、定期的な点検と早期の修理が推奨されます。

排水のつまり

排水口のつまりは、日常的に掃除や専用の洗剤で対処できますが、頻繁につまりが発生する場合は、配管そのものに問題があるかもしれません。

とくに築年数が20年以上の住宅では、配管内に蓄積した汚れや劣化によって排水がスムーズに流れなくなることがあります。このような場合は高圧洗浄を依頼するか、配管リフォームを検討するタイミングと言えるでしょう。

配管の耐久年数と材質

配管の材質によっても、交換や工事のタイミングは変わります。

古い住宅では、鉄管や鉛管、銅管が使用されていることが多く、これらの耐久年数は約20年とされています。一方、現在主流となっているポリエチレン管やステンレス鋼管の耐久年数は30～40年と長く、腐食しにくい特徴があります。

ただし、どの材質でも配管内部は見えないため、耐久年数を過ぎても気づかずに使用し続けてしまうことが多いです。とくに築年数が40年以上経過した住宅では、配管の劣化が進んでいる可能性が高く、定期的なメンテナンスや交換が必要です。

配管工事に必要な費用はどれくらい？

住宅における配管工事は、水道管や排水管の敷設・修繕を行う重要な作業です。

工事費用や工期は、工事内容や建物の種類によって大きく異なります。ここでは、住宅の配管工事にかかる費用について解説します。

水道管工事の費用

水道管工事の費用は、敷地内に引き込む給水管の距離によって変わります。

一般的に、給水管1メートルあたり約1.5万円が目安とされ、敷地の広さや道路からの距離に応じて30～50万円程度の費用が発生します。加えて、給水申し込み納付金や自治体ごとの手数料も必要です。

手数料は、水道管の口径によって異なり、13mmの給水管で2～12万円、20mmの場合は6～30万円と幅があります。また、分岐管理手数料や設計手数料などもかかり、相場は約1.5万円です。

屋内配管工事の費用

屋内の配管工事は、蛇口の交換や水漏れ修繕などが含まれます。

かんたんな修繕であれば、費用は3,000～1万2,000円程度で済みますが、根本的な原因が給水管や排水管にある場合、費用はさらに高くなります。また、新築住宅であれば屋内配管工事に10～20万円ほどかかります。

もし、水道管が敷地に接する道路に通っていない場合、新たに水道管を敷設する必要があり、この場合はさらに追加費用がかかることがあります。距離によっては100万円以上になるケースも考えられます。

排水管工事の費用

排水管の交換工事は、給水管よりもやや高めの費用がかかる傾向があります。

排水管の一部交換は1万5,000円程度、全体の交換には20～30万円かかる場合があります。また、給水管と排水管の両方を交換する場合は、総額で25～50万円ほどが必要となります。

なるべく費用を抑えたいときの工夫

住宅の配管工事は、費用が高額になりがちですが、いくつかの工夫でコストを抑えることが可能です。

まず、1社だけではなく複数の業者から見積もりを取得する「相見積もり」を行いましょう。2〜3社の見積もりを比較することで、価格やサービス内容に差が見えるだけでなく、競争意識が働き、値引き交渉がしやすくなります。

また、相見積もりの実施を業者に伝えることで、よりよい条件を引き出すことも期待できます。さらに、緊急時には応急処置として、必要最低限の箇所だけを修理・交換することで、一時的に費用を抑えることができます。

しかし、築年数が20年以上の住宅の場合、配管が老朽化していることが多く、根本的な修繕が必要になることが多いです。その際には、配管工事と水回りのリフォームを同時に行うと、工事を一度に済ませることができ、総費用を抑えられる可能性があります。

リフォーム会社によっては「水回りパック」といったセットプランを提供していることもあり、まとめて工事を依頼することでコストを削減することが可能です。

また、業者選びも重要です。悪徳業者による不要な工事を避けるため、信頼できる指定工事店に認定されている業者を選ぶことが大切です。しっかりと工事内容の説明を受け、無駄を省くことで、工事費用を抑えることができるでしょう。

配管を少しでも長く使いたいときは？

キッチンまわりの配管は、お風呂やトイレに比べて、とくに劣化が早いといわれています。

原因として、油や食べ物のカス、さらには熱湯を流すことが挙げられます。これらは配管内部に悪影響を与え、つまりや水漏れの原因になる可能性があります。まず、油は配管内に付着し固まることで通り道を狭め、つまりを引き起こします。

植物性の油であっても寒い時期は固まることがあるので注意が必要です。また、油はバクテリアの繁殖を促進し、水漏れを誘発することもあるため、流すことを避けましょう。食べ物のカスも同様に配管内に溜まり、雑菌が繁殖しやすくなります。

シンクのゴミ受けを活用して、食べ物のカスがなるべく配管内に流れないように心がけることが重要です。さらに、熱湯も注意が必要です。配管に使用されている素材によっては、熱によって変形や劣化が進む可能性があるため、熱湯を流す場合は水で冷ますなどの工夫をしましょう。

これらのポイントを守り、日々のメンテナンスを心掛けることで、配管の寿命を少しでも延ばすことができます。定期的な清掃や配管洗浄剤の使用も効果的です。長く快適なキッチン環境を維持するために、配管への配慮を忘れないようにしましょう。

まとめ

配管工事を行うタイミングは、築年数や配管材質、そして具体的な異常の兆候に応じて判断することが大切です。赤茶色の水が出る、水漏れが発生する、排水のつまりが解消しないなどの問題が発生した場合には、早めに専門業者に相談して点検・工事を依頼しましょう。また、水道管の引き込み工事は30～50万円、屋内配管工事の場合10～20万円の費用が目安ですが、排水管や給水管の位置によって費用は変動します。配管が劣化したまま放置すると、さらなる損害を引き起こす可能性があるため、異常を見逃さずに適切なメンテナンスを心がけましょう。